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JAL Agriportが挑む『脱展示会』持続可能な輸出モデル 
マレーシア編
JAL Agriport株式会社

業界・業種
農業・飲食事業・農産物輸出・収穫体験事業
感じていた課題
・単発の輸出イベント(展示会等)で終わってしまい、継続的な商流や現地輸入者、小売との関係性が構築できていない点に課題を感じていました。
・航空会社(JAL)としての認知はあるものの、アグリポートの農産物としてのブランド認知がなく、現地の人に「なぜ価格が高いのか」という価値が伝わらないことへの懸念がありました。
・通常の商社や卸に任せきりの輸出構造では、棚に並んだ際に他社製品と差別化できず、自社のブランド価値やこだわりが消費者に伝わらない(埋もれてしまう)という問題意識がありました。
支援結果
・通常の営業では出会えないような現地の有力なローカルパートナー(卸、小売、飲食店等)と繋がり、具体的な商談や販売協力体制を作ることができた。
・アンケートによる味覚評価(品種ごとの甘み・酸味の評価)や、パッケージのA/Bテストを通じた「売れる」デザインの選定など、感覚値ではない具体的な市場データを収集できた。
・現地インフルエンサーの発信により、マレーシアでの認知拡大に加え、日本の既存フォロワーにも輸出の取り組みを届けられた。
提供サービス
・元年堂イベントスペース使用料、備品一式含む
・提供スタッフ人件費、衛生管理、資材費含む
・アンケート実施、集計、スコアリング分析
・インフルエンサー連携、情報発信施策
・商談設定、資料作成補助、通訳、フォローアップ

日本航空(JAL)グループの農業法人として、成田空港周辺での観光農園運営や農産物の生産・販売を手掛けるJAL Agriport株式会社。2025年より本格的にマレーシア市場へのいちご輸出に挑戦されています。
今回は、「単発の輸出ではなく、持続可能な商流構築」を掲げ、従来の展示会出展スタイルとは一線を画す「逆算型マーケティング」に取り組まれた背景と、そのリアルな成果について、担当のJAL Agriport永易様にお話を伺いました。

JAL Agriport株式会社

JALグループの農業法人として2018年に設立。
成田空港の近郊に位置する広大な農地を生かした農業生産を行っています。
その他、古民家風レストラン「御料鶴」では地元産品を利用した料理の提供を行っています。JALグループの強みである国際的なネットワークやノウハウを生かし、
栽培したいちごを海外へお届けする輸出事業にも力を入れており、日本の農作物の価値向上を目指しています。
https://jalagriport.com/

Culture Link Malaysia. Sdn.Bhd

元年堂の運営母体。マレーシア・クアラルンプールで十割そばを提供する元年堂を運営しつつ、日本企業やアーティストなど日本文化、日本の作品を展示する“ギャラリースペース”を併設。海外進出支援やテストマーケティングのサポートを行っている。

JAL Agriport様へのインタビュー

なぜ、「いちご」で「マレーシア」だったのか?

プロジェクト現地責任者(石川):
まずは今回のプロジェクトの概要と、挑戦の背景について教えてください。

JAL Agriport 永易様:
今回、私たちは自社便を活用して福岡県の契約農家さんのいちごをマレーシアへ輸出する取り組みを行いました。昨年からマレーシア市場への挑戦は始めていましたが、今年は「本気で参入する」年だと位置づけています 単発の輸出であればいくらでもできるのですが、私たちが目指しているのはそうではありません
最終的にはいちごにとどまらず、他のフルーツなどにも広げ、1年を通じてJAL Agriportが日本の食材を継続的に輸出していく形を目指しています
。「持続可能な輸出」を継続的に行っていくこと、これが今回の大きな取り組みの一つです

プロジェクト現地責任者(石川):
なぜ商材として「いちご」を選び、ターゲットをマレーシアにされたのでしょうか?

JAL Agriport 永易様:
日本産のいちごは世界的に人気ですが、中でも東南アジアの需要には目を見張るものがあります。その中でもマレーシアは、親日的なお国柄に加え、高品質な食材への関心が非常に高く、大きな可能性を感じて進出を決めました。

「展示会頼み」の限界と、データドリブンなアプローチ

プロジェクト現地責任者(石川):
今回の取り組みでは、一般的な展示会への出展ではなく、現地店舗(元年堂)でのテストマーケティングと商談会を組み合わせた手法をとられました。この「脱・展示会」の意図はどこにあったのでしょうか?

JAL Agriport 永易様:
これまでタイのJAPAN EXPOなどにも参加しましたが、こうした展示会は日本の文化をアピールする場としては良いものの、その期間が終われば「よかったね」で終了してしまうことが多いと感じていました 。私たちはその場限りのイベントではなく、その後のビジネス、つまり継続的な輸出につなげることを目指しています CULTURE LINKさんからの提案は、単なるイベント運営にとどまらず、その後のビジネスや商談につなげるところまでが支援の中に組み込まれており、そこが私たちが目指す姿に一番近かったんです

プロジェクト現地責任者(石川):
実際に現地のお客様に食べていただき、アンケートやA/Bテストを実施されましたね。データを用いた提案は、現地の商談でどう活きましたか?

JAL Agriport 永易様:
はい。例えばパッケージのデザインも、2つの案(A/Bテスト)で現地の方に選んでもらいました 。「空飛ぶいちご」をイメージしたデザインが好評で、「こちらで送ったほうがいい」という確信が得られました また、現地の方たちがどれだけ日本のいちごに対して詳しいか、私たちはこれまで正確に把握できていませんでした 。今回アンケートを取ることで、高い価格のいちごをただ棚に並べるだけでは売れず、購入する理由(POPや事前のプロモーション)をしっかり認知してもらう必要があることが明確になりました どれだけ良いものでも、価格が高すぎれば商売になりません 。「いくらなら売れるか」だけでなく、「いくらなら継続して売れ続けるか」という視点で、輸入者も当社も利益が出る価格帯を探る必要がありました

現地コーディネーター(有馬):
現地のバイヤーや小売店にとって、ただ「美味しいです」というだけでは説得力がありません 。もう一歩踏み込んでいく必要があり、それがデータやサポート体制になります
例えば今回のように、現地の人が選んだ箱のデザインの事例や、「恋みのりの方が甘い」といったアンケート結果を見える化し、定量分析して提案に落とし込むことは商談において非常に大事なポイントです
さらに、日本の生産者さんや輸出者さんにとって海外向けのソーシャルメディア運用はハードルが高い部分でもありますが、今回のように現地側でインフルエンサーなどを巻き込んでサポートできる体制があることも、強力な武器になります

マレーシアで「高級フルーツ」が売れる条件と商習慣のリアル

プロジェクト現地責任者(石川):
現地の最前線から見て、マレーシアで日本の高級フルーツが売れ続けるための条件とは何だとお考えですか?

現地コーディネーター(有馬):
大前提として、単なる「取引」ではなく、生産者さんや輸出者さん、そして現地の商社やスーパーが一体となって取り組める「お取り組み」の関係を築けるかが非常に重要です
その上で、商流に合わせた戦略が求められます 。小売店であれば、価格や見せ方、プロモーション、納期、賞味期限のバランスがシビアに見られます 。一方レストランであれば、現地のマンゴーやアイスクリームといったデザートとどう差別化し、メニューに組み込める需要を作れるかが鍵になります
これらは総合的な判断になるため、やはり実際に現地へ来て、見て、会って、話して、店舗へ行ってみるという行動が不可欠です

プロジェクト現地責任者(石川):
日本企業が見落としがちな、現地の商習慣の違いなどはありますか?

現地コーディネーター(有馬):
日本ではスーパーが買い取るのが一般的ですが、マレーシアをはじめ海外では「売れたら支払う」消化仕入れ(コンサイメント)が多いんです さらに、国ごとの見えない物流費やリスティングフィー(棚代)などの実態を知らないまま進出し、後でコスト高に苦しむケースも少なくありません シンガポールなどは特にその傾向が強いです だからこそ、現地でリアルに動いている人たちと交流し、裏のルールや現実を知ることが成功の鍵になります

「美味しい」の定義と、ブランド認知の壁

プロジェクト現地責任者(石川):
アンケート結果から見えた、現地の「美味しい」の基準は何でしたか?

JAL Agriport 永易様:
マレーシアにおいて「美味しい」は「甘い」に直結しています。「酸味があって美味しい」という評価はあまりなく、甘さと香りが重要視されます。 品種でいうと、「あまおう」と「恋みのり」を持ち込みましたが、現地の反応と私たちが想定していた味のイメージとの乖離を確認できたのも収穫でした。

プロジェクト現地責任者(石川):
JALブランドの強みについてはどう感じられましたか?

JAL Agriport 永易様:
日本では「鶴丸」マークといえばJALと認識されますが、海外に出るとブランド力は落ちるのではないかと不安でした 。しかし、マレーシアは親日国ということもあり、JALのことを知ってくれている方が多く、ロゴへの信頼感を感じました 。インフルエンサーを通じたSNS発信でも反響があり、JAL Agriportが輸出事業を行っていることを日本側でも知ってもらえたのは良かったです ただ、棚に並んでいるだけでは、なぜそのいちごが高いのかは伝わりません 。航空会社としてではなく「農産物ブランド」としての認知を広げていく必要があると痛感しました

物流の強みと、あえて直面した課題

プロジェクト現地責任者(石川):
物流面では、JALグループとしての強みをどう活かされましたか?

JAL Agriport 永易様:
JALグループが日本全国に幅広く保有しているネットワークを活用することで、収穫したいちごをいち早く現地の空港へ届けることが可能です。今回は自社便を活用し、CIF(運賃保険料込み条件)での輸出を行いました。FOB(本船渡し条件)と比較して、CIFであれば物流費も含めた売上を作れるため、ビジネスとしての規模も大きくなります。

プロジェクト現地責任者(石川):
逆に、難しさを感じた点はありますか?

JAL Agriport 永易様:
いちご単体での輸出の難しさです 。いくら自社便があるといっても、小ロットでの輸送では、輸出商社さんが大量に混載するレギュラーレートには運賃面で勝てない現実もあります 今後は、デザイン性が求められる小売向けだけでなく、パッケージコストや輸送効率を上げられるレストランなどの業務用(バルク)への展開も検証していく必要があると感じています

これから海外を目指す企業へ

プロジェクト現地責任者(石川):
最後に、これから輸出に挑戦しようとしている企業へアドバイスをお願いします。

JAL Agriport 永易様:
まずは、その商品が「どこで売れるのか」というマーケット需要をしっかり調べることです 。むやみに展示会に出るのではなく、需要がある国を知ることが第一歩です また、展示会に出るなら「出て終わり」を防ぐ設計が必要です 。本当に輸出量を増やしたいなら、エンタメ要素の強いイベントよりも、CULTURE LINK MALAYSIA SDN.BHD.が行ったような実務的な商談会にお金をかけるべきだと思います 。そして何より大事なのは、毎年得られた課題や反省点を次のシーズンにしっかりと生かし、諦めずに継続することだと思います

プロジェクト現地責任者(石川):
今回のプロジェクトを通じて実現したい未来をお聞かせください!

JAL Agriport 永易様:
契約農家さんの所得を上げ、「輸出すれば稼げる」と思ってもらえるモデルを作ることです。そして、出口(海外)では日本の農産物の良さを理解してくれるパートナーと、長く商売を続けていきたいですね。

▶ 「輸出すれば稼げる」を、本当に実現したい企業様へ
輸出は“イベント”ではありません。
商流を設計しなければ、継続は生まれません。
私たちは、
「出して終わり」ではなく
「売れ続ける構造」を作ることにコミットしています。
持続可能な輸出モデルを、本気で作りたい方へ。
まずは現状の課題をお聞かせください。

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