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自ら切り拓く挑戦
挑戦の連続が導いた100周年イベントへの道
シヤチハタ株式会社/マレーシア法人

業界・業種
文房具・印章メーカー(シヤチハタ株式会社/マレーシア法人)
感じていた課題
・ダイレクトマーケティングによる販売の固定化・硬直化
・EC直販を開始すると代理店との競合懸念が生じる
・海外拠点の独自の挑戦が認められにくい組織文化
支援結果
・EC直販で代理店が扱わなかった商品の需要を発見
・オンラインでの売れ行きを代理店に還元し、オフライン販売にも波及
・結果的に代理店の売上も拡大し、輸出額は過去最高を記録
・「元年堂マレーシア」として100周年イベントを企画し、現地市場におけるブランド認知を強化
提供サービス
・EC戦略の立案・運営支援
・販路拡大のためのデータフィードバック施策
・現地イベント・プロモーションの企画運営(展示・インフルエンサー・アーティストコラボ)

マレーシア・クアラルンプールで十割そばを提供しながら日本文化の企画展示会スペースを備える店舗「元年堂(がんねんどう)」。静岡の十割そば屋「元年堂」の海外一店舗目として2024年9月にオープン。日本企業やローカルの人々とのコラボレーションイベントなどを多数行い、リピーターを増やしながら『ここでしか味わえない日本の「体験」と「感性」』を発信しています。

今回は、シヤチハタ株式会社マレーシア法人の加藤氏にお話を伺います。
失敗を恐れずにダイレクトマーケティングやEC直販に挑戦した加藤氏。その試みは当初、代理店との関係性に悩みながらも、結果的には新たな需要を掘り起こし、代理店の売上拡大へとつながりました。さらに創業100周年の節目には、「元年堂 クアラルンプール店」にて展示・インフルエンサー・アーティストとのコラボを通じて、日本の印章文化とブランドの新たな可能性を現地に示しました。

シヤチハタ株式会社/マレーシア法人

シヤチハタの使命は、いつの時代でも「便利」「楽しさ」「安心・安全」という価値を社会に提供し続けることです。これまではメーカーとして最高品質の商品を企画開発・生産し、文具印章流通を通して価値を届けてきました。これからは、よりユーザーに寄り添った活動を行い、社会が望む商品とサービスを自信と確信をもって、世界へ提供していきます。
https://www.shachihata.co.jp/

Culture Link Malaysia. Sdn.Bhd

元年堂の運営母体。マレーシア・クアラルンプールで十割そばを提供する元年堂を運営しつつ、日本企業やアーティストなど日本文化、日本の作品を展示する“ギャラリースペース”を併設。海外進出支援やテストマーケティングのサポートを行っている。

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マレーシア進出の背景と決断

加藤さん
シヤチハタの加藤と申します。シヤチハタマーケティングマレーシアの代表を務めさせて頂いております。

出来立てホヤホヤの営業所になるんですが、現時点で委託という形で売上は本社で立てながら、実務的にインドネシアやタイなど東南アジア全体の市場を任せられています。海外市場の中でもアジアが一番大きいんです。

元年堂(野口):
そうなんですね!日本以外のアジアという認識でしょうか?

加藤さん
そうですね。日本は別になります。
基本的にはマレーシアも含め、各国に代理店があります。1国1代理店制を基本にしていて、代理店と共にマーケティング活動をしていくのが一般的なやり方ではあるんですが、マーケット自体、ECが主流になってきたりいろいろ変わってきています。

シヤチハタの代理店は、50年ぐらい取引を続けているところで、とてもトラディショナルな営業方法なんですが、その主軸を保ちながらトレンドもキャッチアップしていくために、やはり日本から出張ベースで行くには限界があるな。ということでマレーシアにも拠点を置きました。これはヨーロッパやアメリカにも拠点を置いた理由でもあります。各大陸・各エリアにブロックを置くことにより、よりマーケットに近いトレンドをしっかりキャッチアップでいるような形で、代理店に頼り切るのではなく自分たちでも切り開いていこう。というマーケティングをベースにして活動しています。

元年堂(野口):
ありがとうございます。ちなみに、1国1代理店ということは、国によって代理店の性質ややり方というのは結構異なるものなのでしょうか?

加藤さん
そうですね。かなり異なります。売れている商品も違いますし、流通の仕組みそのものが各国異なります。あとは、その市場にいつ入ったのかなどにより、結構売上が異なるのが文具業界ではよくあります。そういった条件により、売れている商品や売り上げ規模が違ってきますね。

元年堂(野口):
それでも、あえてダイレクトマーケティングの道を自分たちで切り拓くことを選ばれたのですね。代理店を通さずに取り組むことで、市場のトレンドをより身近に感じられるメリットもあると思うのですが、実際にはどのくらいの効果があったのか、具体的に教えていただけますか?

加藤さん
そうですね。その国で売れている商品の種類や規模が異なる。という点で、各国の代理店の特性が大きく関わってきます。要は、代理店が「得意としている分野」「シヤチハタの代理店になるまでの仕事内容」などにより、その代理店の営業スタイルによって、シヤチハタの売上も影響されてしまう。という傾向があります。

それが1国1代理店制だと、その代理店のやり方によって生まれた売上が、シヤチハタにとってのその国の売上になります。私たちはその売上をもとに、その国の市場を把握してきましたし、それを信じて疑わなかったんです。
最近の例でいうと、ある国の首都がAという街なのですが、私たちの代理店の拠点はBという、その国で2番目に大きい街にあります。市場調査に行きましょう、となっても首都Aではなく、中心地から2~3時間離れた拠点Bに案内されるんです。
その国は人口がとても多いので、どこに行ってもそれなりににぎわってはいるのですが、なんだか違和感があって…。
「みんな、車で2時間もかけて文房具を買いに行くでしょうか?」と話して、もっと人口が多い街にこそ需要があるはずだと代理店に伝えても、「そんな需要はないよ」の一言で終わってしまうこともありました。

元年堂(野口):
代理店によってはそんな感じなんですね。

加藤さん
当時は、僕も引き継いだばかりだったのでよくわかっておらず、その国の代理店の生業とかいままでの歴史を振り返ってみると、特定の地域で問屋さん事業もやっていたんです。首都ではない地域に特化して様々なものを売ってきたから自分たちの拠点だけを得意としていました。
「拠点Bが一番売れるんだ」なんて言ってくるけど、首都ではないですし、本当にそうなのかな?って疑問に思うじゃないですか。

そういったキッカケで、代理店に頼り切っているとその地域のシヤチハタは売れないですし、「そんなわけない」という違和感がその国の「当たり前」になってしまうんだなと。世間に照らし合わせ続けていると、実は非常識だった。ということがいっぱいあると思うんです。

代理店をリスペクトしつつ、「代理店が間違っている」という話ではなくて、苦手としている場所にまだ見ぬ市場価値があるので、ここは一緒になってもっと掘り下げていきましょう。という気持ちでいることがとても大事だなと思っています。

ただ、だからといって、代理店への依頼をやめてダイレクトマーケティングを始めたワケではないんです。

本来であれば、シヤチハタの代理で販売をしてくれるから代理店なわけですよね。シヤチハタ内にちゃんとした戦略があって、「こういうことがしたい」というような主体性を持って取り組むべきなんです。でも、リソース的に法人を持つことができないから代わりに代理店へインプットして動いてもらう。というった流れのはずが、いつからか「代理店のやりたい事をシヤチハタが手伝う」ような逆転の現象が起きて、そもそもシヤチハタ内のスタンスが間違っていたな。と気づいたんです。

なので、代理店制という手段が悪いわけではなくて、シヤチハタ内で「何がしたいか」を考えて、その上でそれを遂行する能力が代理店にあるのかを判断しなければならない。と気づきました。

そんな中で、ベトナムの代理店は当時、立ち上がったばかりの本当に新しい代理店だったんです。僕自身も同じような立場で、これから作り上げていかなきゃいけないという状況で、やり方も何も決まっていない。これから模索していく段階でした。そんな中で、ベトナムの人たちは、若い僕の話にも一生懸命耳を傾けてくれて、それがすごく面白いなと思ったんですね。そこから、僕はベトナムにだいぶ気持ちが傾いていました。

最初に考えたのは「売れている国のやり方を真似しよう」としたんです。でも売れている国のやり方を真似しただけだと、それってベトナムのためにもならないし、自分で考えてやるのが楽しいなと思えてきたんです。その延長線上で、「じゃあ、大きな市場でもこういうことをやってみよう」となったときに、逆にそこではすごく保守的な姿勢や、あまり理にかなっていないようなやり方が多く見られました。

もちろん、代理店として売上が高いところはリスペクトしなきゃいけない。でも、このまま10年、20年経ったら、逆に置いていかれるんじゃないか・・。そんな危機感をすごく強く持ったんです。
すみません、あまりまとまっていなかったかもしれません。

EC直販への挑戦

元年堂(野口):
もう少しダイレクトマーケティングについて具体的に教えてください。

加藤さん
そうですね。まずきっかけは、僕が営業ではなかったんですが、マレーシアに出向していたことです。現地に法人もアカウントもあったので、そこを活用してEC(ShopeeやLazada)で、実験的に直販をやってみようという話が出たんです。

代理店はいるものの、ユーザーのトレンドや動向を直接見るために、少し実験的に直販を始めたいという意向がありました。そこで、最初に僕がその担当を任されることになり、そこからスタートしました。

実際に立ち上げをやってみて、さまざまな情報を吸い上げていく中で、オンラインだけでのマーケティング——つまり広告宣伝だけではなかなか人を集めきれないという現実が見えてきました。そこで、オンラインに人を呼び込むためのオフラインでの営業活動も並行して行うようになりました。その中で分かってきたのが、僕らの知らないところで、日本で売れているシヤチハタのスタンプ台などが、現地ではうちの代理店を通さずに結構入ってきていて、それが一部の層にはすごくウケていたという事実でした。

つまり、並行輸入業者が積極的にマレーシアに商品を流していたんですね。そういった情報を本社に報告したり、代理店に対しても「この商品はこういう価格で既に出回っていて、御社がこの価格で売っても通用しませんよ」というようなフィードバックも行いました。そうした流れの中で、今度は別の軸で「代理店営業もマレーシアからもう一度やってくれ」という話が出てきたんです。本来であれば、1国1代理店制なので本社の海外営業部が営業するのが普通なのですが、現地に僕がいるということで、「マレーシアに残ったままやってくれ」という流れになったんですね。

元年堂(野口):
本社と代理店がコミュニケーション連携をしながらやっていくんだけれども、現地にいる加藤さんもやっていこうとなったんですね。

加藤さん
そうなんです。実は当時、かなり人材不足などもあって、少し異例の対応になったんですが、僕はマレーシア法人に所属しながらも、本社の海外営業部にも籍を置く形で、再び代理店営業も担当することになりました。
そうして様々な新しい動きも試しました。たとえば、Shopeeでうちが直販の店舗を出すと、「うち(代理店)の売上に影響が出ないか心配しています」といった声が上がることもありました。でも実際に売れていたのは、代理店ではあまり力を入れていなかった商品だったんです。

EC直販で代理店が扱っていなかった商品が人気となり、その情報をフィードバックしたことで代理店の取り扱いも拡大。結果的に代理店の売上は過去最高を記録しました。

元年堂(野口):
なるほど、すごいですね!

加藤さん
さまざまな要素が重なって、そうした活動をするようになったんです。代理店の危機感をある意味で煽った部分もあったと思います。そういったことが重なって、結果として代理店の売上がむしろ伸びることになりました。
加えて、僕は代理店が取り組んでいないことを少しずつ調べて、それを実践しながら、本社を通じて他の地域ブロックにもシェアするようになりました。そんな動きの中で、次第に社内から質問を受ける事も増えました。

元年堂(野口):
なるほど。じゃあ本当にこの5年、景色が大きく変わったという感じですか?

加藤さん
そうですね。この5年……いや、正確には3〜4年くらいですが、本当に大きく変わりました。

元年堂(野口):
どうですか? 辛いこともあったと思いますが、実際やってみて。

加藤さん
トータルでは、やっぱりすごくやりがいがありますし、楽しいですね。もちろん忙しくはなりましたけど、それでも楽しいです。
新入社員の頃から感じていた“違和感”に対して、今ちょうど40歳でキャリアの折り返し地点にいるんですが、残りの半分でその違和感に答えを出せる、立証していけるようなポジションに立てたと思っています。自分のキャリアに一貫性を感じられることもあって、それがすごく面白いし、嬉しいですね。

元年堂(野口):
いま、すごく感動しました・・・。

加藤さん
でもやっぱり、こうして物事が変わっていったのは、僕一人の力で成し遂げたというよりも、社長がそういう挑戦できる環境をつくってくれたからこそだと思っています。本当に、その点については会社に対して感謝しています。

こうしたダイレクトマーケティングやEC直販での学びを踏まえ、次に挑戦したのが100周年記念を兼ねた「元年堂マレーシア」企画でした。

元年堂(野口):
マレーシアを拠点とした理由や、これまでの経緯についてはとてもよく分かりました。そこで、少し今回のイベントについての話に移っていければと思います。

100周年イベント『元年堂』での挑戦

元年堂(野口):
現在、Shachihata Malaysiaは東南アジアの拠点としての役割を担っていると思いますが、なぜ今回、”元年堂マレーシア”での企画で、展示やインフルエンサーを巻き込み、アーティストとのコラボイベントなどを行おうと思われたのか。その背景にある課題や狙いについて、少しフォーカスを当ててお話しいただけますか?

加藤さん
わかりました。
今回、元年堂さんやひらくの武田さんと一緒に取り組もうと思ったきっかけは、今年が弊社の100周年だからです。
他の文具メーカーさんを見ていると、100周年を機にかなり大々的な取り組みをされているんですが、正直、うちは前例がありませんでした。そして、そこを代理店に頼ることができないという点も、ひとつ大きな課題でした。

少し話がそれますが、日本で売れているのは「シヤチハタ」ブランドであるのに対して、海外では「アートライン」ブランドが主力なんです。でも今回の100周年は「シヤチハタ」の節目です。そして、実際にマレーシアでも日本のシヤチハタブランドの商品がとてもよく売れているという背景もあり、僕としてはこの100周年を、アートラインではなく、シヤチハタとして、きちんとイベントという形で海外でも展開していきたいという想いがありました。ただ、自分一人ではその力も場所もなかった。そんな中で、元年堂さんや武田さんと出会い、お力を借りることができるようになりました。そこで、まずはこのマレーシアでのイベントを第一歩として実施し、これをベースにして、今後はマレーシア国内の他のエリア、さらには東南アジア各国にも展開していけたらと考えています。そういった経緯で、今回のお願いに至りました。

元年堂(野口):
さっきの代理店の話とつながりますが、正直、加藤さんの動きや展示について、代理店の方々は少し懸念を感じているのでは…と想像してしまいます。その点はどうですか?

加藤さん
おっしゃる通りだと思います。
今回の元年堂さんでの取り組みに限らず、インフルエンサーを起用したイベント開催を心配される事もありました。とはいえ、その後の取り組みでは、たとえば紀伊國屋書店さんやTSUTAYAさんで行ったイベントなどは、きちんと代理店を通じて実施しているものです。

何より、そういった取り組みの積み重ねによって、代理店が扱うシヤチハタブランドの売上自体も伸びてきています。

元年堂(野口):
つまり、この企画や取り組みを通じてさまざまな関係者とつながり、販路が広がって、その結果として代理店の売上も上がっている、ということですよね?

加藤さん
そうですね、はい。
僕自身が代理店の売上を横取りしているということではなく、むしろ代理店がこれまで取り切れていなかった市場や販路を、まず僕が拾って、その流れの中で代理店が担当しているエリアにも売上が波及していくような構造をつくっているんです。その考え方は以前からずっと言葉で説明してきたんですが、最近になってようやくそれが形になってきたと感じています。
そのおかげもあって、お互いに協力し合える、友好な関係性が築けていると思います。

元年堂(野口):
今後1~2年、マレーシアでの動きについては、どのようになっていきそうですか?

加藤さん
そうですね、今もすでに少しずつ動き始めてはいますが、改めてマレーシア国内でどう市場を作っていくかが重要になってくると思っています。
ちなみにマレーシアは現在、日本を除く海外市場の中で、シヤチハタ製品の売上が最も大きい国の一つなんです。

元年堂(野口):
それは意外です。ヨーロッパとか他の国でもなくなんでマレーシアなんですか?

加藤さん
理由としては…うーん、簡単には言えませんが、一つ大きいのは、マレーシア市場にはかなり早い段階、もう60年くらい前から進出していたという点があります。それだけ長い時間をかけて、根付いてきたというのが大きいと思います。

元年堂(野口):
なるほど。市場が育ってきたのもあるし、価格の面でもうまくフィットしているということなんですかね。

加藤さん
そうですね、当時からすでにアートラインの商品を完成品としてではなく、関税対策もあって部材としてマレーシアに送り、現地で組み立てて、それを代理店の方々が販売してくれていたという経緯があります。
そういった背景があって、1994年にはマレーシアに工場を設立することになりました。そうなると、マレーシアの人たちにとってアートラインというブランドは「自国のブランド」として認識されるようになっていったんです。
地域に根付いているということもあり、たとえば政府の入札で「こういうペンが欲しい」という案件が出た時にも、「アートラインを選ぶことは、地元の企業をサポートすることになる」という考えが浸透していて、選んでもらいやすい状況になっています。
自分で言うのもなんですが、もはや“国民的ブランド”といってもいいくらいのポジションです。

元年堂(野口):
それはすごいですね。

加藤さん
今のフェーズで言えば、もはや景気や政府の予算、さらには自動車業界の工場の業績といった、マクロな経済要因に強く影響されるほどに市場に根付いていて、ある意味“金のなる木”的な安定フェーズに入っている状態です。
なので、今は大きな投資はしていませんが、売上自体は非常に安定しています。
ただし、「このまま今の状態でさらに伸ばしていけるか?」というと、そこには限界が見えてきていて、新しい柱を作っていく必要があると感じています。

元年堂(野口):
具体的には、どんな方向性でしょうか?

加藤さん
僕が今やっているような取り組みをヒントにして、たとえばShopeeで売れている商品をオフラインでもっと展開していくとか、逆にオンラインのShopeeにもっと力を入れて売上を伸ばしていくとか、そういう流通戦略を見直す必要があると思っています。また、シャチハタブランド自体がマレーシア国内では比較的自由度があるので、アートラインとは別の軸の商品展開も含めて、しっかり投資していこうという話も出てきています。

つまり、すでに売上が成熟して行き切った市場だからこそ出てくる“次の課題”というのがあるので、そこを今、一緒に解決していこうと考えているところです。

元年堂(野口):
ありがとうございます!たくさん実のある話を聞かせて頂きました。
それでは、いまからは3月~6月にかけて行われた展示イベントについてお聞きしたいと思います。特に象徴的だったのが、アーティスト・クリエイター・インフルエンサーの方々とコラボレーションしたことには、どのような意味や狙いがあったのかをぜひお聞きしたいです。

加藤さん
そうですね、今回の企画を通じてユーザーさんの方々と直接お会いできる機会ができました。しかも、うちの商品を実際に使ってもらい、そのリアクションや商品に対するコメントをいただけて、とても良い反応を感じています。
そうした中で、この方たちのライフスタイルの一部になっているんだなという実感が強くなりました。それがわかると、やはりこの人たちが喜ぶような商品をもっと作り、もっと手に取りやすくしていくことがスタートだと改めて思います。
売上はその後からついてくるもので、まずは原点に立ち返り、「この人たちを喜ばせるためにものを作っているんだ」ということを再認識できた良い機会になりました。

元年堂(野口):
ありがとうございます。イベント展示を行った方、みんなそう言ってくださるんです!
例えば、着物の方は海外に渡す際、基本的にBtoBでしか取引ができず、職人さんやメーカーさんもバイヤーさんにしか渡せない状況だったそうです。でも、今回初めて現地の方に直接手渡しできたことで、商売の本質や原点を強く感じられて、すごくエネルギーをもらったと言っていました。

「喜んでくれる人がいるからこそ、私たちはこの事業を続けているんだ」と再認識し、必ずもう一度この原点に立ち返るために戻ってくる、そんな風に言ってくれる方が多いです。
やはり最終消費者やお客様と直接触れ合う機会があるというのは、たとえ「きれいごと」と言われても、非常に大切なことなんですね。

加藤さん
はい、おっしゃる通りです。

元年堂(野口):
本当に共通項があって驚きました。

加藤さん
そうですね、本当に完全に同意です。これがやる意味であり、エネルギーなんです。

元年堂(野口):
「なぜ商品を作っているのか?」「誰のために作っているのか?」という根本の問いに立ち返る感じですよね。展示会では絶対に出てこない、本音の感情だとも言っていましたね。バイヤーにいくらアプローチしても、思いを伝える気もないバイヤーにはサンプルを送って終わり、というパターンが多いと食品メーカーさんも言っています。

加藤さん:
その気持ち、すごくわかります・・・。

元年堂(野口):
素晴らしいコメントをありがとうございます。僕も嬉しくなりました。
いろいろ聞きたいことはあるんですけど、シンプルに「やってよかったですか?」という質問をさせてください。率直にどうですか?

加藤さん:
もう、やってよかったに決まってます。
先ほども言ったように、原点に立ち返れたこともありますし、例えばアーティストの岡本かな子さんという方と知り合って、一般的なエンドユーザーの視点だけでなく、アーティストの視点から見たシャチハタというものを新たに感じることができました。たとえば、うちにとっては当たり前だった「その場でスタンプを作れる機械」も、岡本さんからすると「そんなことができるんですか?」という反応をいただいたり、岡本さんが即興で似顔絵を描く能力と、うちのマシンを組み合わせて、その場で似顔絵スタンプを作るというコラボも実現しました。そういう化学反応は、正直予想していなかったものでした。

先ほどの原点に立ち返れたこと以上に、予想もしなかった素晴らしい化学反応が起きていて、今ではTSUTAYAや紀伊國屋書店でも岡本さんと一緒にイベントをやろうという話が進んでいますし、さらには中国でも同様のことをやってみようという話まで出てきています。トータルで見て、やって本当に良かったと思っています。

元年堂(野口):
ありがとうございます。

一番の収穫って、ビジネス的に言うと、会社の経営者としてどこが一番の収穫でしたか?

岡本さんとの出会いもそうですし、エンドユーザーとの出会いもありますし、予想もしなかった商品の拡張性が分かったことなどいろいろあると思いますが、一番の収穫は何だったのか、いろいろ繋がりもできて、成果もあると思いますけど、どうですか?

加藤さん:
そうですね、定量的にすぐに言えるものはまだないのですが、まとめるとやはりユーザーの方だけでなく、野口さんや武田さんなど、いろんな方との出会い・繋がりができたことだと思います。その繋がりから、今後成長の種がたくさん得られた感じです。ただ、これは完結ではなくて、元年堂さんのイベントは終わったというよりは「ここから始まる」という感覚で、元年堂さんで得たソースをどう活かしていくかは僕に委ねられている部分も大きいです。なので、元年堂さん自体の収穫と言えば、今後成長し得る「種」となる関係性ができたことだと思います。すみません、うまくまとめきれませんが。

元年堂(野口):
それは本当にありがたいお言葉です。ありがとうございます。

元年堂でのイベントを行い、来場者の反応や会場の雰囲気はいかがでしたか?

加藤さん:
来場者の皆さんはすごく楽しんでいただけましたし、うちの展示スペース目当てで来てくれた方も結構いらっしゃいました。あと、話に出てなかったのですが、「重ね押しスタンプ」もやっていて、それを目的に来られた方もいました。この重ね押しスタンプの魅力がやっぱりすごく伝わったんだと感じられましたね。

元年堂(野口):
加藤さんが「ありがたい」と感じていらっしゃる部分って、数値では測れない価値なんだと思っています。ただ、もし数字で表せるとしたら、「今回の取り組みで新たに開拓できた販路があった」とか、「代理店の売上がこう伸びた」とか、あるいはクライアントの一つでもある元年堂で「リピート率がこれだけ上がったので、今後のソリューションになるかもしれない」といったことですよね。
今回、我々の店舗に設置したスタンプ台は、海外含めた店舗ソリューションとしてすごく可能性を秘めていると思っています。
特に飲食店においては、集客とリピートというのは、収益を支えるものです。
集客でいうと、客数増加率はやる前と比べ、「30.6%」増加した月がありました。また、リピート率はやる前と比べ、11%増加しました。そして、設置にかかった費用は2カ月弱でペイできるという結果になりました。

加藤さん:
そうですね、おっしゃる通りです。ずっと言っているんですが、元年堂さんで完結するという考え方ではなくて、そこでの売上や短期的な効果だけで回収しようとは思っていません。イベントはあくまで起点で、そこをベースに他にも展開していくという話をしています。さらに台湾にも展開を進めていますので、最終的にはそういった活動全体の中で「どれだけ売上につながったか」を証明する必要があるんだと思っています。

元年堂(野口):
最終的には、トータルでの効果を見るしかないですよね。

加藤さん:
そうですね。ああいったイベントがあることで、たとえばリピーターさんとの関係性の中で「スタンプラリーカードを導入する」みたいな新しい展開がしやすくなりますし、次につながる文脈ができてくると、より取り組みやすくなると思っています。

元年堂(野口):
それでは、今後のコラボやプロダクト展開について、また元年堂とこれからどう関わっていきたいかを教えてください。

加藤さん:
今後のコラボレーションやプロダクト展開については、これまで基本的に自分ひとりで動いてきた部分が多かったんですが、これからはチームとして人を増やして、さらに力を入れていきたいと思っています。特に、これまで手が届きにくかったユーザーさんとの距離をもっと縮めていくことや、KOLを活用した取り組みにも、より積極的に取り組んでいく予定です。

そのなかで、元年堂さんは、たとえ今後コラボの有無に関係なく、ユーザーさんとの接点を生み出す場所、つまり“出会いの場”としてすごく大切な存在だと考えています。実際、ワークショップなども開催してみたいと思っていて、ユーザーさんと「じゃあ元年堂さんで集まりましょうか」と自然に言い合えるような、気軽に足を運べる場になってくれたらうれしいです。

和室の雰囲気もすごくいいですし、サイズ感も本当にちょうどいい。そういう意味でも、元年堂さんは、シヤチハタとユーザーさんの新しいストーリーが生まれる場所になっていくと思っています。もちろん、そのときはしっかりお蕎麦もいただきます(笑)。

今回の取り組みで終わりということではなく、CULTURE LINK MALAYSIA SDN.BHD.とも引き続き連携しながら、営業活動なども含めて、今後もご一緒できる形をつくっていきたいと考えています。元年堂さんのような場所を拠点に、より多くの人たちとつながっていけたらと思っています。

海外挑戦を目指す人へのアドバイスはありますか?

元年堂(野口):
ありがとうございます!

最後に、この記事は、海外進出に興味はあるけど、何から始めたらいいかわからない方々に向けて書いています。そんな日本企業の皆さんに伝えたいアドバイスはありますか?

加藤さん:
「とにかくまずやってみること」です。
実際、これまで海外で挑戦した方々を見てきましたが、やって後悔している人はほとんどいません。先日のイベントに参加していた日系企業の方々も、みんな「やってよかった」と口を揃えています。今はどの国でもサポート体制が整っているので、迷っているならまず一歩踏み出してみるのが大事だと思います。

元年堂(野口):
ありがとうございました!!

海外進出をご検討されているものの、具体的な進め方が不明確なお客様へ。
弊社では、マレーシアにて蕎麦店運営とテストマーケティングが可能なギャラリースペースを運営しており、
会計やマーケティング、店舗開発のスペシャリストを集めた専門チームがお客様の課題解決を支援いたします。

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